2021年 3月14日

「どんな風に読む本を選んでいるの?」

 

こんなことをたまに友人からきかれる。そんなに読む方ではないが、本を全く読まない友人からすると沢山の本を選んで読んでいるように見えるのだろう。そんな時は素直に「信頼できる人が薦めているものを読むよ」とこたえている。

 

古本屋めぐりを趣味にしている僕が主に参考にするのは、在野研究者の荒木優太さんとシナリオライター・書評家・YouTuberのスケザネさんだ。このお二人の薦める本を読めばまず間違いない。

 

逆に僕は荒木さんが薦めていなければヘンリー・デイヴィッド・ソローゲオルク・ジンメル埴谷雄高小林多喜二も(『蟹工船』くらいは読んだだろうが)有島武郎も(『或る女』と『カインの末裔』くらいは読んだだろうが)読まなかっただろうし、スケザネさんが薦めていなければ四方田犬彦高山宏須賀敦子梅崎春生庄野潤三も読まなかったし、そもそも知らなかっただろう。そう考えると恐ろしいことだ。

 

小津夜景さんも、スケザネさん経由で知った人である。たしかネオ高等遊民さんのチャンネルで、スケザネさんははじめて小津夜景さんの名前を出したと思う。ちなみに僕がスケザネさんの名前を知ったのは、ネオ高等遊民さんのチャンネルから出たいわゆる「スケザネ本棚動画」だった。人の蔵書をみるという服のセレクトショップにいくような楽しさと、スケザネさんの文化や知への愛とその真摯な態度への好感、そしてネオ高等遊民さんやヌヴーさんとのやりとりが面白くて、もう通して5,6回は観ている。

 

話は逸れたが、読書家のスケザネさんが動画で2020年ナンバーワンとまでいう小津夜景さんの漢詩エッセイ集(?)とはどのようなものだろうと気になって、『いつかたこぶねになる日』と『カモメの日の読書』を(珍しく新品で)買った。

 

『カモメの日の読書』から読み始めたが、素直に、この人はすごい、すごすぎるぞ、と読み始めてすぐ思った。世界を見る目、そこからの発想、それを語る「ラフなんだけど豊かで魅力的な言葉」、それを可能にしている古今東西豊かな教養。こんな人がいるんだ、と素直に感動してしまった。それは中学二年生のころにはじめて俵万智さんの『サラダ記念日』を読んだ時や向田邦子さんの『父の詫び状』を読んだときの気持ちに少し似ている。エッセイだけでなく小津さんが訳した漢詩にも、高校の時に持った非常に道徳的で味気ない漢文のイメージとは違い、お米を洗いながら、風呂を掃除しながらふと口ずさんでしまいそうな生活のリアリティを感じた。『キャッチャーインザライ』のホールデンは「良い本というのは読み終わったあと著者に電話したくなるような本だ」ということをたしか言っていたけど、僕にとって良い本は、読んだ後ひとり散歩に出たくなるような本だ。それは、今までとは全く違った世界の見方を示してくれるから。

 

昨日スケザネさんと小津さんの対談動画(https://youtu.be/CCWTwOwW12c)が公開された。本当は昨日みる予定だったが、他の用事があって今日バイト後に観た。スケザネさんと同じように「小津夜景さんって一体何者?」と気になっていた僕にとって、小津さんの半生が語られる非常に嬉しい内容だった。特に面白かったのは小津さんが中学の頃各教科担任からカルヴィーノ、エンデなどの沢山の本を貰ったエピソード、スケザネさんからの「哲学書を読むことと詩を書くことに何か関係はあるのか」という質問とその答えだ。質問の答えは結構意外で、小津さんからかなり興味深い理由が語られる。ぜひ観てほしい。

 

 

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