2021年 6月3日

野下さんと新文芸坐京マチ子特集をみた。

みたのは『鍵』と『穴』で、両作とも市川崑監督作品。

谷崎潤一郎一流の変態的な愛欲が絡み合うブラックな『鍵』、ユーモア、アクション、サスペンスをこの上なく見事に兼ね備えた『穴』。京マチ子が良いのはもちろん、北林谷栄が良いな、と思った。

 

映画を見終わると、歩きたくなる。野下さんと池袋から新宿まで歩いた。道中映画の話とか『ガロ』の話とか色々したけど、お腹が空いてふらっと入ったピザ屋さんで文章の話になった。

 

良い文章とはなんだろう。僕がはじめて文章に感動したのは小6のころ那須正幹さんのものを読んだ時だし、「文学的」だと朧気ながら感じたのは、中二の頃に読んだ向田邦子だった。この2人の文章はいまでも愛している。

 

文章読本」というジャンル(?)の本がある。その名の通り文章の書き方について書かれた本で、谷崎潤一郎川端康成三島由紀夫丸谷才一と日本屈指の名文家たちが「文章読本」を書いている。井上ひさしが薦めていたので丸谷才一のものを読んでみた。特に興味深かったのは「名文を読め」と「ちょっと気取って書け」というところ。「名文を読め」は以前にもきいたことがあった。イタリア文学者でエッセイストの名文家・須賀敦子森鴎外『即興詩人』を繰り返し読み文章をきたえるように、と父から教えられたという。「ちょっと気取って書け」は目からウロコだった。たしかに、谷崎のような文化的な環境で生まれ育ったならともかく、多くの人が「自分の言葉で、自分の思ったまま書きなさいね」といわれても、良い文章など生まれるはずはない。問題は、その「気取り方」なのかもしれない。どうやって、人の(コミュニティの)「気取り方」ではなく、自分らしく気取れるか。

 

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